ご相談後の手続の概要
ご相談後の手続きの概要については、概ね次のようになっています。
事件の受任
法律相談でお話を伺った上で、病院側に法的責任を問いうるのかなどについて弁護士の見解・見通しをご説明します。
病院側に法的責任を問える可能性があると判断したときは、相談者のご意向や弁護士の関与が依頼者にとって経済的にメリットになるのかということも考え合わせたうえで、事件として受任するかを決めます。
医療調査の進め方
事件受任後は、病院側が責任を認めているケースなどでは、直ちに医療機関側との示談交渉に入ることもありますが、多くのケースでは、さらに詳しい医療調査を進め、病院側の法的責任の追及方法を考えていきます。
医療調査の方法は、医学文献や過去の判例の調査から始まり、医療記録の入手のために裁判所に証拠保全手続の申立を行ったり、協力いただける専門医と面談し、医師としての判断を伺ってくるうなどいくつかの方法があります。
医療調査の結果、最終的には病院側の法的責任を問うことはできないと判断し、病院側への損害賠償等の請求を断念するケースもありますので、ご承知おきください。
損害賠償の請求方法
医療調査の結果、病院側に法的責任を問えると判断しときは、病院側に損害賠償請求を行います。
損害賠償の請求方法には、示談交渉のほか、裁判所の民事調停や弁護士会のあっせん制度などいくつかの方法があり、ケースごとに最適の方法を考えて選んでいきます。
もっとも、これらの方法は話し合いによる解決を目指すものなので、病院側が損害賠償の支払いに応じてこない場合は、これらの方法では解決しません。その場合には、損害賠償請求の民事訴訟を提起することになります。
弁護士費用
無料の法律相談を経た後、事案の内容に応じて、次のような段階に応じた費用がかかる場合があります。
必ずしも、以下の全ての項目の費用がかかるわけではありません。
事件の内容によって、どのような項目の費用が、どれくらいかかるのか、あるいはかからないのかが変わってきますので、担当弁護士から十分説明を受けて下さい。
証拠となる資料を集める段階
病院の医療記録を集めるには、ご自身で手続を行う「任意開示」という方法と、裁判所を通じて医療記録を集める「証拠保全」という方法があります。
「任意開示」については、ご自身で手続をとる場合には、弁護士に対する費用はかかりません。
「証拠保全」の場合には、弁護士に対する手数料として、20万円〜30万円程度の費用がかかります。また、証拠保全を進めるためには、実費がかかることがあります。実費とは、証拠保全を申し立てるために裁判所に収める印紙代や、保全先まで弁護士が移動するための交通費等をいいます。事案にもよりますが、実費は、通常数万円から十数万円程度です。
調査をする段階
事案の内容に関して、より専門的な医療調査をする必要が生じることがあります。この場合には、弁護士費用や実費がかかることがあります。
なお、医療調査では、医師に面談して意見を聞くことがありますが、こうした場合には、医師に対する謝礼や、医師面談の際の弁護士の交通費といった実費がかかります。
示談交渉や法的手続を進める段階
相手方となる病院などに対して、示談交渉をしたり、民事調停の申立や民事訴訟の提起をする場合には、弁護士費用として「着手金」と「報酬」がかかります。
○着手金○
着手金は、手続の一番最初にお支払い頂く費用で、仮に、示談交渉などで成果が得られなかった時や、裁判などで敗訴になった場合でも、原則として依頼者には返却されません。
着手金の金額は、相手方に対する請求金額を基礎にしつつ、事案の内容を加味して、依頼者と弁護士とが協議して定めます。
○報酬○
報酬は、示談交渉や裁判の結果、支払を受けられることになった場合に頂くものです。
報酬の金額についても、支払を受けるべき金額を基礎に、事前に依頼者と弁護士とが協議をして算定方法を定めます。